身につけた法の知識を土台にして、
一生かけてじっくり考えてほしい
法の歴史に惹かれ、憲法研究の道へ
大学受験の時までは、就職しやすそうな「つぶしがきく」学部を、と法学部を選んだ横田先生。大学で西洋法制史を学んだことで、法にかかわる歴史の流れに関心を持つようになり、日本の憲法に影響を与えたドイツの憲法についても目を向けるようになって憲法を専門に学ぶ世界へ。研究者になってからは、「国家と教育」などのテーマを意識して、子どもの教育を受ける権利だけでなく、さまざまな関係者のもつ精神的自由やその他いろいろな権利に着目しつつ、国家がなぜ教育にかかわるのかについて、深めようとしてきた。
法を作った歴史を大切にするゼミと授業を
2004年から、西南学院大学ロースクールで憲法を専門に指導してきた横田先生。2022年から法学部教員となり、ゼミでは、「解釈論・判例も大事ですが、憲法がそもそもなぜ存在するのか、歴史も視野に入れて、条文の存在意義を学んでほしい」という。法の歴史を加味しながら、それぞれが関心を持ったことについて自由に深められる場にできればと考えて、横田先生自身も「学生の皆さんの若い発想に刺激をもらいたい」と楽しみにしている。共通科目の憲法の授業では、憲法の「いま」(内容や解釈)だけでなく、その歴史や、民法・刑法・行政法と憲法との関連についても意識するようにしている。
議論ができる土台としての法の知識を身につけて
横田先生も学生時代などは、「憲法は守るためのものだ」という見方をしていたが、憲法を学ぶにつれて、単に憲法に従うということだけでなく、憲法やその中にある価値観をどう「使って」いくのかが大切だと考えるようになったという。また、世の中では、法律を憲法違反とする裁判所の判決が注目されがちだが、違憲・合憲、どちらの立場の主張にもその背景と理由があり、合憲と判断する判決の論理にも注意しなければいけない。バランスよくそれぞれが何を大切にしているかを見て、議論することの大切さを考えるに至ったとのこと。憲法ときくと「身構えてしまう」ようなところがあるかもしれないが、「あれ」か「これ」かの二つの立場だけで割り切って物事を考えるのではなく、学生時代に身につけた法の知識を土台にして、一生かけてじっくり考えてほしい、と話す。