社会を知るために法律を学び、
熱い心と冷静な頭脳を持って
世の中の仕組みを知るために法の世界へ
大学時代は、経済学部だったという横尾先生。会社合併や組織のトラブル、ビジネスにおける経営者の悩みなどを学べば学ぶほど、商法や会社法などの法律を知りたいと思うようになり、大学院から法律の世界に飛び込みました。
「資本主義の基本や、世の中の仕組みをもっと知りたい。そして、いろんな状況を多角的に見て、きちんと客観的な判断ができるようになりたい」と考えるようになったそうです。
トップの暴走を食い止めるのは法律というブレーキ
もとより興味のあった経済・ビジネスに関する法律を学ぶ中でも、株式会社を健全に継続させるためには何が必要かという点にフォーカス。「いくら良い経営者でも優秀な創業者でも第三者の目がないと道を逸れてしまうケースは少なくありません。では、どういう環境が整えば、企業が良い形で続くのだろうかと問い続けました。そして、株主など第三者による経営者の監督・コントロールはもちろんですが、『経営者(取締役)の解任』も重要な役割を果たすということに注目し、それを研究テーマとしてきました」。つまり、トップが暴走することのないよう解任しやすい状態を保つことで、健全な組織が維持できるという考え方です。一方、解任のしやすさばかりを見ていると、経営者が株主の意向を重視し、短期的な視点での経営に陥ることもあるので、バランスを確保するための制度づくりや偏りのない法解釈について今後も研究は続けていきます。
大学ラグビー部の部長を務める横尾先生は「これは組織に限らず、スポーツチームやその他のサークルなど人が集まるところに共通する学びがあります」と話します。そのため、こうした法律を学ぶことでチームマネジメントに必要なものが見えてくるそうです。
多角的に見る力が、社会を生き抜く上での頼もしい武器に
法学部で学ぶことで、物事を多面的に見る力がつくと思います。特に民事の場合は、お互いの立場において、正義がぶつかり合うケースが大半を占めます。そういう事例を学ぶことで、「ひとつの物事について、その背景までも含めて、広くそして深く見つめ、冷静に判断する力を養ってほしい」と横尾先生。
また法律を勉強すると、自ずと社会が見えてきます。特に、横尾先生の専門である商法・会社法は、私たちが今暮らしている資本主義社会の基本となる法律です。普段目にしているニュースや世間を賑わす出来事にもアンテナを張っておくと、学びと社会のつながりを実感することができます。「法律の知識がどれだけ社会を生き抜く上での力になるか分かって、楽しく感じられますよ」とエールをくれました。