大学での学びは
知的な豊かさをもたらします
私人・私企業にとっての国際法を研究
2016年4月に赴任された佐古田彰先生は、国際法の研究が専門。国際法は国と国との法律問題を扱う法ですが、その中で「私人・私企業活動がどう位置づけられるのか」をテーマに研究されています。最近は、国際法の一分野である宇宙法も研究しているそうですが、そんな先生も、大学3年生までは宇宙法のことを「宇宙人と戦争するための法と思っていました。国際法学者は、なんてSF的なくだらない研究をしているんだと思っていたんですよ」と笑います。宇宙法は宇宙空間の利用に関する法であり、例えば、打ち上げたロケットや人工衛星が地上に落下した場合、その損害賠償の責任は誰が負うのかなどのルールを定めています。SF的どころか、あまりにも現実的過ぎる内容に、驚かされたそうです。以前は国家がロケットや衛星を打ち上げていましたが、近年は民間主導の事業が増えているため、急速な法整備が求められています。今後、注目の学問領域であることは間違いありません。
得意を伸ばしてほしい
もともと佐古田先生は、高校まで数学と理科が得意な理系男子でした。しかし、受験で点数を上げるためには「得意を伸ばすより、苦手をなくすこと」が必要ですから、好きな理数を後回しにして苦手な国社ばかり勉強していたら逆に理数が伸び悩み、結果的に文転を余儀なくされます。大学の法学部に進学した後も特に熱中できるものがなく、浮草のような人生を送り、大学4年次の就職活動では壁にぶつかったとか。「面接で『大学で何をしてきましたか』と聞かれたときに、私はこの4年間、何をやっていたのだろうと思いました。つまり、自分を語る材料が全くなかったんですね。今後どうするのか、迷い、悩みました。そして、取り戻さなければという思いから勉強をやり直すために大学院に進もうと思って、今に至ります」と研究者になった経緯を語ります。法律の専門家として研究に没頭されている今でも「文転したことを後悔しています。もっと、得意を伸ばしておけばよかったという気持ちは消えませんね」と佐古田先生。自身の経験から、学生には「得意を伸ばしてほしい」と伝えています。
西南学院大学の国際法教育の特色
西南学院大学法学部は、全国でも数少ない国際関係法学科があり、国際法担当教員が4人も在籍しています。佐古田先生によると「日本の法学部で、これだけ多くの国際法担当教員を擁している大学は、本学と東大くらい」とのこと。また、国際法関連科目も充実していて、国際法の授業が2講座もあるほか、国際経済法、国際人権法、国際環境法、海洋法、国際組織法、国際紛争解決法といった各論科目が豊富な点も、他に類を見ないそうです。更に、西南学院大は、国際法の学生世界大会である「ジェサップ模擬裁判大会」(検索してみよう!)に九州で唯一参加している大学でもあり、国際法教育は日本でトップクラスの充実度を誇ります。学生には、西南学院大で自由に好きなだけ国際関係法を勉強し楽しんで欲しいというのが、赴任したばかりの佐古田先生の願いです。
さらに先生は、国際法を学ぶこと、大きくいえば大学で学ぶことの意義をこう話します。「国際法の知識を使った仕事は、外交官か国連職員ぐらいなので、ほとんどの人にとっては不要かもしれません。しかし、大学で学んだことは、知的な豊かさをもたらします。どの先生も専門的に研究されているプロですから、自分が知りたいことを大いに吸収してください」。