自分の夢を見つける鍵は
出会いとチャレンジ
大学時代は出会いの宝庫。心惹かれる生き方に触れるチャンス
大学時代は、出会いの宝庫だと語る石森先生。ご自身も学生時代にかけがえのない出会いがあったそうです。
法学部に入り、2年次の頃、「法律の勉強は大変だ」と感じていた石森先生には、3年次からのゼミや研究テーマについて進みたい方向性が見えていなかったといいます。しかし、ある先生に「うちのゼミでは行政法とソフトボールを一緒にやってくれる仲間を待っています」と言われ、無類の野球好きだった石森先生は迷わず手を挙げました。
石森先生が今でも師と仰ぐその先生は、ソフトボールも研究も同じぐらい楽しみながら人生を謳歌していました。「うまくなりたいと練習することで成長するのはソフトボールも勉強も一緒。ソフトボールみたいに楽しんでやればいい」という言葉に衝撃を受けたそうです。
社会を良くするために法をどう使うか、考え続けよう
石森先生が研究している行政法は、「社会の課題を解決する=世の中をより良くする」ための目標を掲げ、その実現を目指しています。しかし、そのためには、時に国民の権利や利益を制限する必要も生じます。公益の実現と、そのために強いられる国民の権利・利益の制限とがぶつかり合う中で、そのバランスを適切に図り、行政法を読み解きながら、適用の解釈をしていくことが求められるのです。
法律の知識に従うだけでなく、物事をさまざまな角度から見て、どんな価値観や立場に対しても1度寄り添って考えてみることも大切だと石森先生。「これが行政法の難しさであり、考える習慣をつけて壁を乗り越える力が培われることは醍醐味ともいえます。最初から1つの考えに凝り固まることのないよう、多くの人の意見に耳を傾けましょう。そして、それらに寄り添いながらも偏ることなく、大事にすべき価値に照らして考えるのです。知識と人間性の両方を磨いておくことで、優しく人を守れる力と冷静に物事を見て判断する力が養われるはずです」。
無駄な経験はない。恵まれた環境でチャレンジすることを大切に
長らく行政法を研究し、研究者として過ごしてきた石森先生は、法科大学院で司法試験受験生に指導をする経験がターニングポイントになり、実務家としての経験を積むため弁護士に。しかし、依頼者の落ち度を指摘して怒らせてしまったり、被疑者に対して、あるべき姿を伝えたら面会を拒否されたり、なかなかうまくいきませんでした。100%依頼者の立場に立ってこそ使命が果たせるのが弁護士の仕事ですが、石森先生はどちらか一方に肩入れすることが潔いと思えず、つい目の前の依頼者に譲歩を求めてしまったといいます。
この経験を通じて、それまで実務を前に物足りないと思っていた研究者という仕事が、自由に考え、自由に発信できる、自身にとっての天職かなと気づくことができたそうです。「試行錯誤も失敗も決して無駄にはなりません。一歩踏み出すかどうか迷ったとき、特に大学生活においては迷わずチャレンジしてみてください。法曹・企業・行政・研究、どの道に進むとしても、さまざまな異なる意見を1つにまとめていく機会はあるでしょう。そうした際に力になるのが法律です」。