学びを通じて自分が変化し、
成長していくプロセスも楽しんでほしい
源氏物語に魅せられ、現代語訳の本を手あたり次第に読む高校時代を過ごしていた濵﨑先生。文学部か法学部に進みたいと考えていたが、「困っている人の力になり、社会の問題を解決したい」と考えたとき、身近にある法律の重要性に気づき、法学部を目指すようになった。西南学院大学法学部に入学し、所属したのは吉村徳重先生の民事訴訟法のゼミ。判例について議論する中で、一定のルールに基づいて、当事者にとっても、論理的に見ても妥当な結論を導くという民事訴訟法の面白さに触れ、研究者の道を志した。ゼミ合宿にも参加し、ゼミ論文にも真剣に取り組んで充実した時間を過ごせた貴重な体験が、現在の学生への親身な指導につながっている。
民事訴訟における「証拠」が専門分野
現在は特に、民事訴訟における「証拠」について専門的に研究している。例えば、大きな会社などの法人を個人が訴える場合、基本的に「敵に塩を送る義務はない」民事訴訟の場において、個人は証拠と情報において不利になりがちだという。例えば著作物や商標を扱う知的財産法の争いにおいては、ある程度相手方や第三者の手もとにある情報や証拠の開示を求める手段が設けられつつあるが、それを一般の訴訟でも適用するための理論を研究している。
「まずは発言してみる」ことを大切にして、自分を鍛えるゼミを
訴訟というと刑事の事件が取りざたされがちだが、身の回りのトラブルはほとんど「民事」の争いだ。「トラブルに巻き込まれたときに『助けて!』と正当な手段で訴えるためには、知識や情報を得て整理する力も大切」という濵﨑先生。ゼミでは、他大学との合同討論会を行うなど、ひとつの問題について皆で議論する機会を作りたいと考えている。「間違っても良いから言ってみよう」と、尻込みせずに発言し、学生が「できた」という達成感を得ながら、問題解決能力を身につけられるゼミを目指す。
担当する授業でも、講義時間の間に休憩時間を設けて、訴訟にまつわるドラマや漫画、映画、小説などを紹介し、裁判の傍聴も勧めるなど、抽象的な表現になりがちな訴訟の手続きをできるだけ具体的にイメージしてもらえるように工夫を凝らしている。自分を慕う学生には、自らを鍛えて成長したいという『ライザップ願望』のある学生が多い、と笑う濱崎先生。「ときに厳しくタスクは課すが、学生とのコミュニケーションを大切にして、法的思考の筋力を鍛えて卒業してもらいたい」と話す。