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2025/09/05(金)

呉豪人先生の講演会が開催されました。

 202595日(金曜日)4時間目に、「植民地法再見・台湾原住民(先住民)の法的地位を中心に」というタイトルで、学術講演会が実施されました。

 講師は呉豪人(ご ごうじん)先生(輔仁大学法律学院教授)です。呉先生は、戦前から戦後にかけての台湾政治史、台湾法史の権威で、戦前からの台湾‐日本関係史、台湾における先住民の歴史と現在についての造詣が深い方です。

 呉先生には、台湾におけるindigenous people (台湾では、「もともとの住民」というニュアンスから「原住民」と訳されることが多い。「先住民」というと、昔はいたが今はいないというふうに聞こえるらしい)の法的地位について、近年の人類学の知見からわかってきた太古からの歴史、16世紀のオランダ東インド会社の登場、明朝、清朝とのかかわり、日清戦争の結果としての日本への割譲、大日本帝国の台湾の原住民政策の確立、アジア太平洋戦争末期の皇民化政策、国民党政権の成立、戒厳令時代、戒厳令解除時代、そして2005年の原住民基本法制定前後の変化について、大局的見地からお話しいただきました。

 また、清水潤先生(早稲田大学政治経済学部准教授)からも、アメリカ法の歴史のなかで、ネイティブ・アメリカンの法的地位がどのように考えられてきたかということについて、話題提供いただきました。

 台湾における原住民とアメリカにおけるネイティブ・アメリカンの地位について、もちろん地理的歴史的違いは大きいですが、同時代的現象と見ることのできる面もあり、興味深く感じられました。

 質疑応答では、国際法、国際私法の観点からさらに議論が深められました。

呉先生1
呉先生2
清水先生